フランス語を学習していると様々な冠詞に出会います。英語の a にあたる不定冠詞の un/une と、英語の the にあたる定冠詞の le/la/les は、英語と多少の用法の違いはあれど比較的理解しやすいと思います。逆に、英語にはない概念として、不定冠詞の複数形 des や、部分冠詞 du / de la と呼ばれるものがあります。また、de grandes maisons の de のように前置する複数形形容詞の前には de を置くというルールや、Nous n'avons pas de villa. のように否定文の目的語につく不定冠詞は de になるというルールなど、一見理解し難いものもあります。そこで本記事では自分用にこれらをまとめます。
※間違い等あれば優しく指摘していただけると嬉しいです。
不定冠詞の複数形 des
これは、数えられる名詞の前に置いて「いくらかの」という意味を表します。形は名詞の性に拠りません。
例:Elle a des bonbons.
部分冠詞 du / de la
これは、液体や気体など数えられない名詞や抽象名詞など、不可算名詞の前に置く冠詞です。男性形は du 、女性形は de la です。
例:Je mange du pain.
例:Vous avez de la chance.
複数形形容詞の前に置く不定冠詞 de
フランス語では、基本的に形容詞を名詞の後ろにおいて修飾しますが、一部の頻出形容詞では形容詞を前に置きます (grand, bon, nouveau など)。このような前置する形容詞に複数形の不定冠詞を置くとき、des ではなく de をつけるという規則があります。ただし、この規則は現在の話し言葉においてはあまり使われないようです(次節参照)。
例:de grandes maisons
上記3種類の冠詞の由来
これらの複雑な冠詞について調べたところ、以下の記事を見つけました。
dictionary.sanseido-publ.co.jp
不定冠詞の複数形 des と部分冠詞 du / de la はともに部分詞の de と定冠詞 (les/le/la) が結合したものであることが書かれています。この部分詞 de は名詞の一部分を表す働きをしたようです。イタリア語にも同様の冠詞があり、フランス語の des にあたるものと du / de la にあたるものはまとめて部分冠詞と呼ばれています。フランス語は機能に注目して可算名詞につくものを不定冠詞としているのに対し、イタリア語では部分詞 di に由来するものはすべて部分冠詞と呼んでいる、という違いでしょうか。
また、複数形形容詞の前に置く不定冠詞 de も部分詞 de に由来すると書かれています。前置する形容詞が定冠詞の代わりに限定の役割を果たすことで、定冠詞に由来する des (<de+les) が使われなかったようです。しかし近年ではその意識は薄れつつあり、口語では des の方が優勢のようです。
否定文の目的語につく冠詞 de
フランス語では文を否定するとき、動詞を ne と pas で挟みます。否定文において、直接目的語につく不定冠詞は de になります。ここで、不定冠詞 un/une を持ってくることもできますが、「ひとつも…ない」という強調の意味がつくようです。
例:Nous n'avons pas de villa.
否定文の目的語につく冠詞 de の由来
この冠詞についても記事を見つけました。
dictionary.sanseido-publ.co.jp
この冠詞は前の3種類の冠詞とは異なり beaucoup de... と同じ構造をしていて、pas de ... で「数量副詞 + 前置詞 de」に由来するそうです。
あとがき
フランス語のdから始まる冠詞について、その用法と由来をまとめました。読んだり聞いたりした知識はすぐ忘れてしまいがちですが、知識をまとめてアウトプットすると頭の中が整理されて良いなと改めて感じました。